1.ヒブワクチン接種後に男児死亡 基礎疾患あり、因果関係不明
2.都立5病院、病気別手術数などネットで開示
3.病院への資金提供「総額など開示を」 製薬協が指針
4.筑波大など、最先端がん治療法「BNCT」実用化へ産学官で新組織
5.携帯音源の音量注意を 「異常なし」でも聴力低下
6.脂肪蓄積をイサダが抑制 機能性食品への利用期待
7.パーキンソン病未承認薬、アルツハイマーに効果
8.花粉症、気管支ぜんそく 原因物質作る仕組み解明
9.【厚労省】新薬13成分を薬価収載‐アルツハイマーで2種類、初の経口抗凝固剤も登場
10.インドネシアで新たに鳥インフルエンザH5N1のヒト感染例
11.カンボジア、エジプトで鳥インフルエンザH5N1のヒト感染例を確認
12.認知症末期患者への人工栄養・水分補給、9割の医師が「導入判断難しい」
13.糖尿病治療薬の選択 安易なクラス内の切り替えは最適な治療オプションにならず
14.最新DI:【新薬】エルデカルシトール
15.PPI併用はアレンドロネートの効果を損なう
16.ビスマス製剤含む4剤併用がCAM耐性ピロリに高い有効性
17.埋め込み型無線血行動態モニタリング、心不全患者の入院率を大幅低減
18.吸入コルチコステロイド連日投与、小児の軽症持続型喘息に有効:TREXA試験
19.Diabetics have higher risk of death from cancer
20.Tight Blood Sugar Control May Put Some Diabetics at Risk
21.Diabetes Ups Death Risk Overall, Study Shows
22.Heart Failure Patients Don't Need Continuous Infusion of Diuretics: Study
23.Ibuprofen Linked to Lower Parkinson's Disease Risk
24.病院報告(平成22年11月分概数)
25.プレスリリース
1) Avian influenza – situation in Indonesia
2) Opioid Pain Killers Linked to Increased Risk of Some Birth Defects
3) 筋肉における新しい糖取り込み調節機構の解明
4) DNAの複製メカニズムに新たな発見
5) 喘息・花粉症の原因物質産生は、合成酵素の2つのアルギニン残基が鍵
6) 後期転移性乳がん患者様における「HALAVEN®」の主要臨床試験結果がLancet誌に掲載される
7) The Lancet Publishes Results from Pivotal Study of Eisai's Halaven™
8) アムロジピンOD錠2.5mg/5mg「トーワ」・アムロジピン錠2.5mg/5mg「トーワ」の高血圧症に対する2251例の使用成績調査の結果公表について
9) 血中の酸素飽和度など測定するパルスオキシメーター「ファインパルス」2機種を発売
10) 抗精神病薬オランザピンの適応追加申請~双極性障害におけるうつ症状の改善~
11) 新たに判明した忠犬ハチ公の死因について
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1.ヒブワクチン接種後に男児死亡 基礎疾患あり、因果関係不明
共同通信社2011年3月3日
兵庫県宝塚市は2日、市内の医療機関で子どもの細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチンなどの接種を受けた2歳の男児が死亡したと発表した。市によると、男児には基礎疾患があり、接種との因果関係は不明。
市によると、男児は2月28日に任意でヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの接種を受け、翌3月1日に死亡した。医療機関はすでに厚生労働省に報告。同省は因果関係などについて調査する方針。
同省によると、ヒブワクチンは2008年12月、小児用肺炎球菌ワクチンは10年2月に国内での販売が始まり、今年1月末までに延べ約523万人がいずれかの接種を受けた。
ヒブワクチン接種後の死亡例は、1歳未満の男児の事例(昨年11月)が1件報告されているが、小児用肺炎球菌ワクチンでは初めて。
2.都立5病院、病気別手術数などネットで開示
日本経済新聞社2011年3月3日
東京都は2011年度中に、総合病院の機能を持つ全5カ所の都立病院で救急患者数や病気別の手術数などの医療情報をネットで公開する。すでに一部で始めており、拡大する。患者が病院を選ぶ際に役立ててもらうほか、基礎的な情報を比較しやすくして、業務の改善を促す狙いもある。情報開示を進めることで民間並みの経営感覚を取り入れる。
公開するのは「臨床指標」などと呼ばれる情報。職員数、入院患者数といった基本情報のほか、部位別のがん患者数、診療科別の患者数、患者のうち院内で床ずれや転倒・転落を経験した人の割合、入院患者に実施した満足度調査の結果なども示す。すでに大規模な民間病院などでは実施しているが、自治体の病院ではまだ少ないという。
現在、都立病院は8カ所あるが、このうち専門病院3カ所を除く、5カ所で公開する。すでに10年から墨東病院(東京・墨田)、広尾病院(同・渋谷)で試行的に実施。このほど、多摩地域の中核病院と位置づける多摩総合医療センター(東京都府中市)でも始めた。来年度中には、大塚病院(東京・豊島)、駒込病院(同・文京)でも実施する方針だ。
これまで各病院が内部で持っていた情報を広く公開することで、患者の目が厳しくなり、医療の質の向上も期待できるという。医療関係者にとっても、例えば、転倒の発生率などを年度ごとの推移を見たり、他病院と数値を比較したりすることで、改善策が探りやすくなる。
都立病院は主治医以外の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」の充実や、電子カルテ、クレジットカード決済の導入など患者へのサービス向上に取り組んできた。情報公開の面でも民間の先進事例に近づける。
3.病院への資金提供「総額など開示を」 製薬協が指針
日本経済新聞社2011年3月3日
新薬メーカーで構成する日本製薬工業協会(会長・長谷川閑史武田薬品工業社長)は2日、大学や医療機関に対する資金提供などの情報を公開する際の指針を発表した。寄付金や学会共催費は提供した団体名、講演の謝礼や原稿執筆料は提供した団体と個人名を金額とともに開示することを求めた。2012年度分の実績を13年度から各社のウェブサイトなどに掲載するよう、会員各社に促す。
製薬会社による資金提供の状況を開示する動きは海外で広がっており、日本でも各社が自主的に説明する必要があると判断した。研究費や臨床試験費、講演会費、説明会費などは年間の総額を開示する。接待費などその他の経費も総額の開示を求めた。
4.筑波大など、最先端がん治療法「BNCT」実用化へ産学官で新組織
日刊工業新聞社2011年3月3日
筑波大学は最先端のがん治療法「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の実用化を推進する産学官のコンソーシアムを今夏までに立ち上げる方針を固めた。
加速器から照射する中性子を使ってがん細胞だけを破壊する治療法で、他の放射線では治療が困難な多発性がん、浸潤がんなどに有効とされる。コンソーシアムは小型加速器の開発と医療に利用するための薬事法に基づく登録、運用方法の確立に加え、臨床研究を重ねて次世代のがん治療法として「先進医療」の認定を目指す。
コンソーシアムは筑波大学のほか、茨城県、高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構、重工メーカーなど、2010年4月に立ち上げた研究会を母体に産学官が連携。コンソーシアムの下に人材育成、加速器やその電源に関係する設備整備、開発した加速器の維持管理を行う設備管理の3部会を置く。組織代表には筑波大付属病院副病院長の松村明氏が選ばれる見通し。
5.携帯音源の音量注意を 「異常なし」でも聴力低下
共同通信社2011年3月3日
イヤホンなどを通じて携帯音楽プレーヤーを大音量で聞き続けると、雑音の中で音を聞き分ける能力が弱まるとの研究成果を、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の岡本秀彦特任准教授らがまとめ、2日付米科学誌プロスワン電子版に発表した。
この能力の低下は、静かな個室で一つ一つの音を聞く通常の聴力検査では発見しづらく、異常なしと診断されるが、脳や神経が負担を受けているとみられるという。
岡本准教授は「周囲の雑音を減らす機能を使うなどし、音量は控えめに」と使用者に呼び掛けるとともに、雑音の中での検査の必要性も指摘した。
岡本准教授らは、20代の男女のうち、日常的に大音量で携帯音楽プレーヤーを使う13人と使わない13人を対象に、特定の周波数の音に対する脳の反応を調査。雑音が少ないと聴覚に違いはなかったが、雑音がある場合、常用者は脳の反応が鈍り、音を聞き分ける能力が弱まっていたという。
6.脂肪蓄積をイサダが抑制 機能性食品への利用期待
共同通信社2011年3月3日
脂肪の蓄積を抑制する作用が確認されたイサダ
養殖魚や釣りの餌として利用されるイサダに脂肪の蓄積を抑制する作用があることが、岩手県水産技術センター(釜石市)と県生物工学研究センター(北上市)、岩手医大の共同研究で分かった。イサダの食材利用を目指す県は「サプリメントなど機能性食品としての利用が進めば、沿岸部の振興につながる」と期待している。
研究は2009年度に開始。イサダの水溶性抽出物をマウスなどの培養細胞に加えたところ、脂肪細胞の形成に必要な遺伝子の発現が抑制された上、脂肪細胞が中性脂肪を蓄積するのを抑えられた。
マウスを使った摂食実験では、ラードなどを含む高脂肪食を18週間食べさせて体重変化を観察した結果、イサダを混ぜた餌を食べたマウスは体重増加が約10%抑えられたという。
県と岩手医大は1月、研究成果に関して共同で特許を出願した。研究グループは今後、脂肪蓄積を抑制する物質の特定や仕組みの解明に向けた研究を続け、機能性食品の開発を目指す。
岩手医大の佐塚泰之薬学部教授(創剤学)は「脂肪を燃焼させる作用は確認されていないが、少なくとも脂肪が増えるのを抑える効果はあった」と説明する。
県水産技術センターの上田智広主任専門研究員は「県内企業と連携してサプリメントなどへの活用を検討し、イサダの付加価値向上、単価のアップにつなげたい」と話している。
[イサダ]小エビに似たツノナシオキアミという甲殻類の一種。岩手県では国内総漁獲量の4割に当たる年間約2万トンが水揚げされ、ほとんどは餌として使われている。ビタミンやカルシウムなどの栄養素を多く含む。北里大海洋バイオテクノロジー釜石研究所は2009年、健康食品の有効成分の一つ「ギャバ」をイサダから生成することに成功した。
7.パーキンソン病未承認薬、アルツハイマーに効果
読売新聞社2011年3月3日
九州大の大八木保政准教授(神経内科学)らの研究グループは2日、アルツハイマー病のマウスに、パーキンソン病の治療薬「アポモルフィン」を投与した結果、記憶障害が回復したと発表した。大八木准教授は「アルツハイマー病の新たな治療法の開発につながる」と説明している。
発表によると、研究グループは遺伝子操作で発症させたマウスに、アポモルフィンを週に1回ずつ計5回、注射した。その結果、神経細胞の機能を低下させる脳内たんぱく質「アミロイドβ」が減少。マウスを泳がせる実験では、ゴールまでの到達時間が6~7秒短縮されるなど、記憶障害も回復したという。
実験結果は米国の神経学専門誌「アナルズ・オブ・ニューロロジー」電子版に掲載された。アポモルフィンは欧米などで市販されているが、吐き気といった副作用があり、国内では未承認。研究グループは今後、患者への臨床試験を進めるとともに、副作用を軽減した新薬開発を目指す。
8.花粉症、気管支ぜんそく 原因物質作る仕組み解明
共同通信社2011年3月3日
理化学研究所放射光科学総合研究センター(兵庫県佐用町)は2日、ヒトの体内で花粉症や気管支ぜんそくの原因物質ができる仕組みについて、同町の大型放射光施設「スプリング8」を使って解明した、と発表した。鼻や気管支の粘膜などの細胞内にある二つのアミノ酸が原因物資を作っているといい、これらのアミノ酸の働きを抑えることで副作用が少ない薬の開発につながるという。
研究成果は近く、米科学誌「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に掲載される。
花粉症や気管支ぜんそくは、鼻や気管支の粘膜などにあって免疫機能を担う「肥満細胞」が、「ロイコトリエン」という情報伝達物質を放出。周囲の細胞に結合して鼻水を誘い、気管支の収縮などを起こす原因の一つとされる。治療に、ロイコトリエンが他の細胞と結合するのを抑える薬などが使われるが、眠気や腹痛といった副作用が起きることもある。
同センターの吾郷日出夫専任研究員らと米ハーバード大の研究グループは、肥満細胞の中で膜タンパク質「ロイコトリエンC4合成酵素」を構成する150個のアミノ酸の働きについて、スプリング8で解析した。
その結果、ロイコトリエンが作られている部位に、二つのアミノ酸があることを確認。いずれも「アルギニン」と呼ばれ、脂肪酸などを結合させ、ロイコトリエンを作ることを突き止めた。
吾郷専任研究員は「ロイコトリエンが作られている部位や仕組みにだけ効果がある薬を作れば、他のタンパク質などに影響が出ず、副作用が少なくなる」としている。
9.【厚労省】新薬13成分を薬価収載‐アルツハイマーで2種類、初の経口抗凝固剤も登場
薬事日報社2011年3月3日