2012年4月10日火曜日

ブログ人: 食と健康


遺伝子組み換えの動植物の問題に関しては、これまでも「遺伝子組み換え(GM)作物」、「遺伝子組み換え魚」、「遺伝子組み換え蚊」、「遺伝子組み換え生物たち」などをお伝えしてきましたが、どれもみんなこれから私たちが生きていく上で、心配で不安な問題ばかりです。

いつもお話しすることですが、〔You are what you eat=あなたは「食べたもの」で出来ている〕わけですから、「食」の問題は何にも増して重要だと思います。

その「食」の問題で新たな動きがありました。皆さんご存知だと思いますが、今月からハワイ産の遺伝子組み換えパパイヤが輸入解禁となりました。また、種子や苗についても順次解禁される見通しです。

既にこれまでも日本におけるGM作物に関しては、大豆やトウモロコシなど7作物158品種が認可されており、それらの輸入品が飼料や食用油などに加工され使用されています。

でも、生食用の生鮮青果の遺伝子組み換え作物(GMパパイヤ)が輸入されるのは、初めてのことになります。これを皮切りにいろいろなGM作物が輸入され拡大していくことが危惧されます。

ところで、皆さんご存知でしたか?日本の牛や豚、鶏などの家畜の餌用飼料のほぼ全数と言ってもよいぐらいが、既にGM作物だということを。日本が、米国からのGMトウモロコシの最大の輸入大国だという現実を。もはや唖然とするしかないですよね。(恐)

そのGM飼料を食べて育った牛や豚、鶏などの食肉を、私たちが日ごろ口にしているわけです。

遺伝子組み換えの問題点はいろいろ挙げられますが、長期的な人間の健康への影響生態系への影響環境への影響などが言われています。

また、GM作物でよく言われることは、種子を収穫することが出来ない一世代限りのものなので、毎年GM種子を買い続けなければいけない。つまりGMによる「食の奴隷化」があります。(食を制すものが世界を制す)

なのでアメリカが国策で推進し、世界最大の種子メーカーであり、GM作物メーカーである悪名高いモンサント社らを通じて発展途上国や新興国などへ、普及拡大をはかっているのはご存知の通りです。

日本も農協や種子メーカーがモンサント社の資本系列化にあると言われており、「種子が収穫出来ないGM」、また「雄しべが出来ないF1種」などが堰を切ったように、ぞくぞく入ってくるものと思われます。

雄しべが出来ないF1種は人間の男性不妊の一因となり、また種子が採れないGMは男女の不妊の一因になりはしないか?と心配する向きは私だけでしょうか?(男女の不妊問題についてはいずれ記事にしたいと思います)

今回のGMパパイヤの輸入解禁に際し、日本の食品安全委員会は2009年7月、「人の健康を損なう恐れはない」と結論。また、種子や苗についても農水省が2010年5月、「生物多様性や環境への影響はない」と結論しています。

でも、とうのハワイでは、GM作物の花粉が非組み換え作物に受粉する「交雑」が起こり、生産者側が「汚染」されたと指摘する問題が発生しています。これは氷山の一角ですが、自然界におけるGMによる「交雑」は必ず起こると思います。

それが固定種(在来種)を駆逐してしまう恐れがありますので、結果として生物多様性に多大な影響を与えてしまう可能性が考えられ、最終的には生態系や地球環境に対する人類史上かつてない未曾有の影響が懸念されます。


ただ果物を食べることは重量を失うことがあります

GM動植物やF1種に関してご興味のある方は、以前のブログの「インドの農民が遺伝子組み換え作物で大量自殺」「恐怖!ついにここまできた遺伝子組み換え生物たち」「日本のタマネギの90%が雄しべができないF1種」「世界中のミツバチが消えた真の原因」などをご参照ください。

今回のGMパパイヤ輸入解禁の問題からひも解いていくと、背景に人口爆発や食糧問題、人口削減計画、エネルギー問題、そしてエネルギーの次にくる食の世界支配(食の奴隷化)や水資源の確保などの諸問題がかいま見えてきます。

では、白壁達久氏の日経ビジネスの記事ほかをご紹介します。

遺伝子組み換えパパイヤ、買いますか? 日経ビジネス(2011.12.13)

■人が直接食べるGM作物の輸入が解禁に

遺伝子組み換え(GM)パパイヤの輸入が今月から解禁になった。米国ハワイで作られたものだ。GMパパイヤは1998年の開発以来、生産を拡大して米国本土などで販売されている。
ハワイで最近パパイヤを食べたならば、おそらくGMパパイヤだろう。

2009年には日本の食品安全委員会が「健康を損なう恐れはない」と判断しており、今月初めの解禁となった。生産地のハワイでは、既に「遺伝子組み換え」の文字が書かれたラベルが作成されており、早ければ今月中にも店頭に並ぶという。

これまでも飼料用の穀物としてGM作物はたくさん日本に入ってきていた。だが、生でそのまま口にする食べ物としては初めてのものになる。

ただ、「買うか?」と聞かれたら、「買わない」と答える人がほとんどではないだいろうか。そもそもパパイヤは嗜好品なうえ、遺伝子組み換えではないパパイヤもたくさんある。
この状況下で、あえてGMパパイヤを選ぶ人は少ないだろう。それが、日本における現状だ。
だが、「パパイヤだから関係ない」と受け流してはいけない
GM作物の普及は世界で進んでいる。今回の輸入解禁は、その一歩と捉えるべきだ
これを機に、GM作物についての議論を日本でももっと活発にすべきだと考える。

■GM依存大国、ニッポン

トウモロコシの世界最大の輸入国である日本。その輸入先は9割が米国だ。米農務省(USDA)の調べによると、2011年に米国で生産されるトウモロコシの88%(作付面積ベース)はGM作物だという。
大豆にいたっては94%(同)と、もはや遺伝子組み換えでない大豆を探すほうが困難な状況にある。

家畜向けの飼料はほぼ全量が輸入に頼っている。つまり、穀物飼料のほとんがGMに頼っていることになるだが、日本でこれほどGM作物に依存していることは、ほとんど知られていない

日本人にとって、GM作物に良い印象を持っている人は多くないだろう。「何となく嫌だ」「体に悪影響があるような気がする」「生態系を壊すのではないか」ーー。消費者の嫌悪感は拭いきれていない。

この漠然とした不安は、推進派と反対派の議論がかみ合わず、熟した議論が消費者に届いていないことに原因があるような気がする。
推進派は、国際レベルでの安全基準をクリアしている点を掲げてその安全性を説明する。
反対派は、自然界の生態系に影響を及ぼした事例を挙げて危険性を指摘する。

■食糧争奪戦で日本は勝てるか

今年10月末には世界の人口が70億人を超え、2050年には90億人に達すると予測される。FAO(国連食糧農業機関)は、90億人の胃袋を賄うには、世界の食糧生産を現在に比べて70%増大させる必要があると推計する。


どのような脂肪のタイプはバターで、どのくらい脂肪はバターである

世界では農地の開拓や争奪戦(ランドラッシュ)が繰り広げられている。だが、農地として開拓できても、現在の2割増しぐらいが限界のようだ。
この差をどう補うか。単位面積当たりの収穫量を増やすしかない。そこで注目が集まるのがGM作物だ。

昨年、中国が米国からトウモロコシを輸入し始めて衝撃が走った。生産地だった中国が消費地に変わっていく。
この動きは成長著しい新興国や人口爆発が起こる途上国でも続いていく可能性が高い

穀物を中心に、食糧の多くを輸入に頼る日本。「輸入作物=安い」という概念も、世界での食糧争奪戦が勃発すれば変わるだろう。
実際穀物市場では日本の商社が中国との争奪戦に敗れるケースも出てきている。

話をGM作物に戻そう。私が言いたいのは、「GM作物をもっと普及させよ」ということではない。
GM作物の割合が世界で拡大していく中で、国がきちんとその「安全」を証明し、消費者に「安心」を届けられる体制を構築できるのか。そこに確信が持てない。

GM作物の作付面積が世界で拡大している。米国や南米、東南アジアでも増えている
害虫や気候の寒暖、干ばつに耐性があるGM作物は収穫量が多いため、農家がこぞって植えようとする。
「消費者の論理」よりも、「生産者の心理」が拡大を促している

日本の企業も一時期、GMに関する研究開発に投資をしていたが、世論を気にして撤退するところが多かった。商品化して儲けられないのであれば、撤退するのも当然だろう。
一方、海外企業は積極的に投資している。遺伝子組み換えメジャーは、1日当たり数億円単位の開発費を投じている

先端の研究知見がなければ、海外で続々と誕生するGM作物に対して、受け身にならざるを得ない。

■「安全」ではなく、「安心」を

世界における深刻な食糧不足は確実にやってくる
経済先進国である日本だが、産業の海外移転で空洞化が進む今、将来に向けた食糧の安定的な確保、つまり食の安全保障は真剣に考えなければいけない。

国として農業を発展させて対応するなら、それでいい。ただ、世界中で農地の奪い合いが行われている中で、休耕田に補助金をばら撒くような政策は速やかに撤廃し、強い農業を作らなければいけない

消費者の安心がなければ、国内でのGM作物の普及はない。パパイヤは前述のように嗜好品に近いが、身近な食べ物になったらどうだろうか。

中国ではGMイネの開発が続いており米国ではGMコムギの開発が本格化しつつある。
スイートコーンと呼ばれる飼料向けではなく、人が食べるトウモロコシでも、既にGM作物生産が承認されている国がある。既にそれらを栽培する農家もあるという。

日本人が普段口にする食べ物が、気づけばGMと化してくる。普及が進まなければ、輸入に関する圧力が高まるかもしれない。

外圧によって「言われるがまま」に導入してしまうことが、日本にとって、そして消費者にとって一番不幸なシナリオだ
GMの推進派や反対派、双方がそれぞれの主張を繰り広げるだけでなく、両者が一緒になって将来の「食の安全」を考える時期に来ている

県内普及に否定的 ハワイ産、遺伝子組み換えパパイア 琉球新聞(2011.11.30)


粉体を結晶化する方法

ハワイ産の遺伝子組み換えパパイア(品種・レインボウー)の日本への輸入が12月にも解禁される。国内有数のパパイア生産地で消費地でもある沖縄への流通や農業へ与える影響が注目されるが、輸入解禁について、県や県内の卸業者ら関係者は「メリットがない」などとして、県内には普及しないとの見方を示している。

輸入解禁されるパパイアは果実表面にリング状の斑点ができる「リングスポットウイルス」に抵抗性を持つ品種。

一方、県病害虫防除技術センターによると、県内で発生しているウイルスはほとんどが「奇形葉モザイクウイルス」で、「リングスポットウイルス」と同種ウイルスの発生は一部にとどまる。20数年前の調査で同ウイルス発生は1割程度だったという。ウイルスに感染しても食用には問題ないが、感染すると収量減少につながる。

県園芸振興課は対応するウイルスの種類が違うとして「県では効果は出ない可能性が高い」と指摘。「安易に導入して経営的にマイナスになっては困る。安易に普及しないよう情報収集し対応したい」と話した。

同センターの担当者も同種のウイルスは一部県内にもあるとした上で「リングスポットウイルスも地域によって性質が違う。効果が出るかは分からない」としている。

沖縄協同青果が2010年度で取り扱った果実用パパイアは県産32トン(平均㌔単価565円)、フィリピン産6トン(同428円)だった。同社果実部の東山正道部長は「ハワイ産価格はフィリピン産の2倍はする。メリットはなく、入ってくる可能性は薄い」との見方を示した。

パパイア加工品を製造するレキオファーマの奥キヌ子社長は「日本の承認は一つの事実と受け止めるが、これを直ちに安全なものとしては扱わない。生産者には作物に関する正確な情報提供をしてもらうよう呼びかけたい」と話した。

(謝花史哲)

来月から遺伝子組み換えパパイア解禁 県内農家への影響懸念 琉球新聞(2011.11.06)

【東京】12月からハワイ産の遺伝子組み換えパパイア(品種・レインボー)の日本への輸入が解禁される。食用の遺伝子組み換え作物としては既に大豆やトウモロコシが輸入されているが、生食用の生鮮青果の輸入解禁は初めてとなる。

果実そのものだけでなく飲料用ピューレなど加工品、さらには種子や苗なども順次解禁となる見通しだ。

県内では今年2月に台湾産の未承認の遺伝子組み換えパパイア種子が発見され、農家は伐採を余儀なくされた。沖縄は国内での有数のパパイア生産、消費地でもあり、遺伝子組み換えパパイアの輸入解禁が県内農業へ与える影響が注目される。

現在、政府が交渉参加を検討している環太平洋連携協定(TPP)に参加した場合、食品に関する安全基準が緩和され、米国同様、組み換え作物表示の義務付けが廃止されるのではないかと懸念する声もある。

3日、県選出・出身の全国会議員が発出したTPP交渉参加に反対する緊急声明で指摘されているほか、10月に県内で講演した鈴木宣弘東大大学院教授も安全基準緩和に警鐘を鳴らしている。

一方、米国は、輸出解禁に向け在京大使館主催で遺伝子組み換えパパイアに関する講演会を開催するなどPRを始めている。

消費者庁の担当者はTPPに参加した場合の遺伝子組み換え作物の表示への影響について「安全基準が(TPP交渉の)対象になるとの報道はあるが、詳細は不明。食品添加物なのか、遺伝子組み換え表示なのか安全基準のどの分野が緩和や見直しの対象になるのかは全く分からず、現時点では何とも言えない」と述べるにとどめた。


食品安全委員会は2009年7月に遺伝子組み換えパパイアについて「人の健康を損なう恐れはない」と結論付けた。種子や苗などについても農水省も10年5月にカルタヘナ法に基づく調査で、生物多様性や環境への影響はないと結論付けた。

ハワイでは、遺伝子組み換え作物の花粉が非組み換え作物に受粉する「交雑」が起こり、非組み換え生産者側が「汚染」と指摘する問題なども発生しているが、農水省は「安全性は確認されており交雑したとしてもわが国の生物多様性に影響はない」(農水省)との立場だ。

消費者庁は、輸入される遺伝子組み換えパパイアには一つひとつに遺伝子組み換え作物であることを示すシールを貼ることで店頭で消費者が選択できるようにするとしている。

<用語>遺伝子組み換え作物

病気や害虫に強いなど特定の機能を持つ遺伝子を組み込み、品種改良した作物。食糧問題解消に期待が集まるが、生態系への影響や長期的な観点から食品としての安全性への懸念もある。

日本では大豆、トウモロコシなど7作物158品種を認可。国内での食用商業栽培は行われておらず、輸入品を飼料や食用油に加工しているとみられる。

12月に輸入解禁されるパパイアは、果実表面にリング状のはん点ができる「リングスポットウイルス」に抵抗性を持つ品種でハワイ大学が開発、ハワイのパパイア栽培総面積の8割が遺伝子組み換え種。

遺伝子組み換え芝の花粉、風で運ばれ従来種と交雑 ワイアード・ニュース・レポート(2004.10.01)

除草剤への耐性を持つよう遺伝子を組み換えた芝の花粉が、実験用農場から風で20キロも遠くへ運ばれ、従来種の芝と交雑していることが明らかになった。遺伝子組み換え種を管理しきれないバイオ業界に懸念が高まっている。

遺伝子を組み換えた芝の花粉が、実験用農場から風で20キロも運ばれ、従来の品種と交雑していることが明らかになった。バイオ業界が、自ら作り出した遺伝子の「拡散」を管理できないという事実に、懸念が高まっている。

問題の芝は、広く使われている除草剤への耐性を持つよう遺伝子が組み換えられた品種。米環境保護局(EPA)の研究チームは、オレゴン州ウイラメット・バレーで、芝の遺伝物質が予期されたよりも遥かに遠くまで飛んでいたことを突き止めた。

遺伝子組み換え植物をめぐっては、その開発、封じ込め、そして環境中に拡散した場合の潜在的影響をめぐって議論が巻き起こっているが、今回の調査結果は、この議論にさらなる一石を投じるものとなるだろう。

[日本語版:湯田賢司/高森郁哉]

≪関連情報≫

70億人突破 地球は増える人口を養えるか 日経ビジネスオンライン ECOJAPAN(2011.10.31)

世界人口70億人へ、資源争奪など不穏な時代の幕開けか ロイター(2011.10.26)

世界人口70億人へ、日本人は初の減少 読売新聞(2011.10.27)

世界人口、70億人突破へ 国連白書 日本経済新聞(2011.10.26)



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